Q 税理士の道に進んだきっかけを教えてください。
大学は、潰しが効くと思って法学部に在籍していましたが、就職活動は特にしませんでした。そんな時、ある友人に就職が決まり、会社から簿記を受けるように言われたそうです。その友人にTACでパンフレットを貰ってくるようにと頼まれたので取りに行ったところ、公認会計士のパンフレットを見つけて読んだら面白くて。ビビビ!と来てそこから目指しました。
公認会計士として勤めていた時には、経営の姿や業務プロセスを見ることが出来て、とても勉強になりましたね。周りからも会計士の仕事が向いていると言われました。でも会社に雇われているのに、投資家の目線を持って会社にああだこうだと指示をしなくてはいけないでしょう。そういうのがストレスになりました。それにどうしても大企業相手になり、社長とは話せずに経理部長と話すので、お客様との距離が遠くてね。自分の言ったことが本当に会社に反映されているのか、いまいち手応えがありませんでした。
それから税理士として勤め始めました。公認会計士の時代とは違って経営者と直接話せるし、お客様から「ありがとう」と言われるのがやりがいであり喜びですね。
きっと私は「人の成長」に関わりたかったんです。税理士は天職だと思っています。
Q 事務所名にこめられた、先生の思いをお聞かせください。
前身の三吉会計で、前所長の三吉とお客様がゴルフや旅行を通じて交流するという「三交会」というのがありました。法人化する時に今はやりの横文字の長い名前も考えたのですが、うちは昭和18年から70年もやっている事務所なので、昔からお付き合いのある高齢の社長様もいるんですね。そこで親しみのある「三交会」から「サンコウ」とし、同時に、「お客様」と「会計事務所」と「職員」の3つを絆で結ぶという「三絆」という思いも込めました。
Q 三吉先生の事務所から「税理士法人サンコウ」と法人化、村田先生が代表を務めるようになった中で、苦労されたことはなんですか?
毎日苦労の連続ですね(笑)
職員が職を無くしたらいけないし、お客様にご迷惑をかけてもいけないしと、そんな思いを持ちながら法人化の話が出てから10年、やっと法人化できました。
今は職員みんなが付いてきてくれていますが、私が職員に対して手綱を緩めでも引き締めすぎても良くないなと思っています。お客様のためにも、所内の管理は少しずつ厳しくしていきたいですね。
今まで公認会計士事務所としての収入もあり、個人事務所時代は恵まれた事務所でした。そのため、営業する、新規顧客を開拓するというマインドがなかったり、税務の採算性や生産性に対する意識がなかったり。さらにここへきて、ご高齢の経営者の方が多いので廃業されるケースが続き経営は厳しいです。職員には危機感を持ってくれるよう常に言い聞かせています。
うちは、職員の入れ替わりが少ないことがいいところでもあり、問題でもあると思っています。40年以上勤務していて、お客様ともそれくらい長く付き合っている職員もいます。今まで担当者のローテーションもしていなかったので、これから担当替えを行うとお客様からの抵抗もあるかと思います。でもこれからは事務所を変えて行こうと思っていますし、職員にはそう宣言しています。
そろそろお客様も代替わりする時期に来ていて、事務所も大きな転換期を迎えています。職員は、税理士業務ができることは当たり前、それに加えて「人間力」が高い人を採用したいですね。
Q 経営理念はなんですか?
サンコウの代表になって作ったのは、「サンコウ・フィロソフィ」です。サンコウの職員として、皆で同じ哲学を共有したいと考えています。その中でも一番大事にしたいことは、「職員が輝いて幸せに豊かでいる」ことですね。職員が人間力を高く持ち、魅力が無いとお客様も付いてきてはくれません。お客様を元気にするためにも、自身が輝いていることが重要ですね。
Q サンコウ・フィロソフィを事務所に根付かせるために行っていることはありますか?
毎朝朝礼を始めました。9:00始業だったのを8:45に変えて行っています。職員の抵抗があるかなと思いましたが、受け入れてくれました。加えて事務所の目標にしたいのは、「挨拶」と「掃除」ですね。価値観のすり合せをしていかないといけないので、フィロソフィを事務所で共有していきたいと考えています。
冬休みに職員に出した宿題は、「私の夢」、「理想の1日」、「この半年で成長した事」をまとめてくることです。この宿題、簡単そうに見えて、やってみると意外としんどいんですよ(笑)。私たちは自分と向き合うということを疎かにしがちです。さらにそれを言葉で表現するのは難しいことです。でも、それをするとだんだん自分の軸ができてくるというか、自分でわかってくるようになります。そしてほかの仲間と共有すると、人間関係がよりみずみずしいものになっていきます。人が成長するには、まず自分と向き合うこと、それを心から応援してくれる仲間の存在がいるという気づきがベースとして必要じゃないでしょうか。また、あるべき姿が明確になれ
ば、現状と照らし合わせれば、おのずと問題点が見えてきます。理想が無く現状も見えていないと、問題点を他人や環境のせいにしてしまいますからね。
僕は、仕事とは自分を磨く「舞台」だと考えています。演目が税務であったり、学校の先生だったり、サラリーマンだったりするんですね。今の仕事が全てでなくていいんです。仕事を通じて自分を磨いてくれたらと思います。凝り固まった、自分の狭い価値観の中で動いて欲しくないんです。みんな輝いて仕事をして欲しいと考えています。でも、法人化して一番変わったのは僕ですね(笑)。みんなを食べさせ、輝かせないといけない責任感を持つようになりました。自分がどう生きていきたいのか、軸も見えました。
Q 事務所の将来は?
大きいことが良いことだとは思わないです。しかし、マンパワーを強くして30~50人の事務所に成長させたいと思っています。
そのためには新人を入れないといけません。新人が入ると職員の刺激にもなりますしね。2013年は事務所の体制作りに尽力したので、2014年からはそれを外に発していきたいと考えています。たとえば決算表の読み方などの勉強会をお客様向けに行ったり、当事務所のお客様以外の方にもセミナーを開催したりしたいと思います。
Q MyKomonがサンコウさんに貢献できたことはありますか?
日報を付けるようになりました。時間管理は、採算性と生産性を管理するのに役立っていますし、今後担当替えをするときに、この時期前任者は何をやっていたかがわかるので役立つと思います。今まで、税務会計の仕事が7割・雑務が3割くらいかなと思っていましたが、そんなことありません。半々くらいでした。雑務の時間を減らしていけるよう、今後は気を付けていきたいです。
Q 経営者の方に一言お願いします。
理念経営による言語化
数値による見える化
お客様の理想の将来を実現
この3つを軸にサポート致します。
サンコウでは、「一所懸命」ではなく「本気」で業務に取り組むように事務所で徹底するようにしていますので、どうぞよろしくお願い致します。
村田先生、ありがとうございました!