Q まずは先生のことを伺っていきたいと思います。公認会計士を目指されたのは、所長であるお父様の影響なんでしょうか?
そうですね。高校生の頃からなんとなく意識していました。
ただ、父は何も言わなかったのですが、母には幼い頃から「あなたは会計士になるのよ」といわれていたように思います。
Q 会計士の魅力はなんですか?
ぶっちゃけて言うと、最初は会計士になったことを後悔しました。最初に大手監査法人へ入って、会社の監査を行なっていたのですが、監査法人って、嫌われ役なんですよ。
監査は誰の為って、投資家のためなんですよね。会社自身は好きで監査を受けているわけではないんです。
ただ、部下を持つようになってから変わってきて、部下に対して教えることに魅力を感じてきたんです。監査法人での仕事はそこから楽しくなってきましたね。
今は、ただの会計士の資格だけではなく、「こんなことが強い会計士」、「~な会計士」というものを持っていたら面白いなと思います。今、それが見え始めたという感じでしょうか。
Q なるほど。それはそうと、本の出版おめでとうございます。いろいろなところでお話されているとは思いますが、本を出版することになった経緯を教えていただけますか?
5年前に父の事務所に入所して、これからの事務所について話をしたときに、本を出してブランドを作っていったらどうかと軽い感じで言っていました。
低価格の勝負ではなく、差別化をしていって事務所のブランドを組み立てていきたいと考え、1年半ほど前に本を書く為の準備を始めたんです。
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Q 今回の本ですが、まず読んでほしいのは会社の社員様との事ですが?
今、「新卒入社の3割が3年で辞める」といわれています。これは、社会的にも問題だし、企業にとっても大きな問題です。
現在、大学で講義を行っているのですが、学生に、就職先選びに関して、良い会社に入れということではなく、仕事の現実を理解したうえで行なったほうが良いということを伝えています。「思っていたのとは違う」、「雑用ばっかりだ」と言って辞めてしまう人がいますが、きちんと社会を知って選んでいればそんなことは防げたと思うんですよ。
ただ、学生にここまで理解してもらうのは難しい。なので、職歴がまだ浅い20代社会人に読んで欲しいですね。
実際は、経営者からの反応が良いですね。経営者から従業員へ配って下さっているみたいです。
Q 本を書いたことで、事務所としての考えをPRしようとしたんでしょうか?
事務所のPRに繋げたかったのはありますが、私自身が、5年前に事務所に来てから会計士として何に長けているのかが分からず、悩んでいたんです。
特化というものを色々考えたり、試したりしてみましたが、何か違うなと思っていました。自分は一体何に長けているのかと考えてみたところ、研修を頼まれたりして、従業員さんと接する機会もあり、従業員さんをみながら、「この人は稼いでくるな」と感じたり、事務所に来る営業マンなんかでも「この人は赤字社員だな」と見ていることに気付いたんです。
この視点って私だからこそのものじゃないかと思い、従業員教育まで出来る事務所というスタンスを打ち出そうと考えたんです。
Q なんか新しいですよね。
そうですね。切り口を探したっていうか、悩んだだけあったかなと思います。外部のニーズがどうかは別にして、私が出来ること、強みとして自信を持って言えることなので。
Q なるほど。
ただ、今のところは事務所の中でそういう視点を持っているのは私だけなので、ニーズがあれば、私が研修などを行なっている状況です。
Q 今後は職員さんも一緒に事務所としての体制で出来るとよいですね。
今、所長と私以外に税理士が2名いるんですが、凄く優秀で、安心して任せられるので、私は営業面など、付加価値の部分、対外的な広報の役割を担って、役割分担で行なっていけたらと思っているんです。
Q そのほうが事務所としての壁も厚くなっていけそうですね。
そうですね。
Q 事務所の理念はありますか?
父の代から、「明日の経営を共に考える」というものを掲げています。
うちはお金だけをみるのでは無くて、お客様の将来の経営までを“一緒に”考えるというスタンスを大事にしたいと思っています。
経営って、やっぱり「人」しだい、だと思うんです。従業員の教育のところにも、私どもの得意な会計を使って人を活性化させようとする事務所にしたいですね。
今後更に、お客さんから「香川会計事務所じゃなくちゃ」といわれる付加価値を提供したいと考えています。
Q そこに向けての活動っていうのは何かされていますか?ホームページの訪問日記などもそれにあたるんでしょうか?
そうですね。お客様を理解しないといけないので。
あとは、ニュースレターをクライアント、見込客、他士業などに500部以上出しているんですが、お客さんのPRにもなりますし、私自身がお客様を理解する機会にもなっています。
Q 他にはいかがでしょうか?
一事務所ではできることに、限界があるんですが、それでも中小零細企業さんは誰に何を相談すればよいかわからないので、私にも色々な相談が寄せられます。
そんなときに専門家のネットワークが欲しくなるんですよね。そこで今、尼崎の商工会議所で「サムライ研究会」という12士業、約100名の専門家のネットワークを作り、私が初代会長を務めています。お互いに紹介がいつでも出来るように活動しています。
<サムライ研究会>
http://www.amacci.or.jp/keiei/samurai.html
Q 最後に、ご覧になっている経営者の皆様へ一言お願いします。
【会社の活性化=従業員の利益意識】
経営は最終的には“人”が命です。
従業員が経営者意識を持てば、会社の利益のために動き出します。では、従業員に経営者意識を持たせるために、何が必要となるのか?それは、「決算書の開示」だと、私は考えています。
経営者の皆さん、従業員に自社の決算情報を伝え、従業員を会社の利益のために動かしましょう。
香川先生ありがとうございました。