Q.税理士になったきっかけを教えてください。
税理士になったきっかけは、父親が税理士事務所を経営していたことです。家と事務所がくっついていたので、仕事の内容は分からないものの、子供のころからお客様との交流はありました。就職してしばらくサラリーマンでしたが、後を継ぐために前の仕事を辞めたんです。
最初は、信託銀行で不動産業務を行っていました。就職をしたのは、バブル崩壊から数年後の時期でした。当時は不動産の証券化がかなり話題だったんです。その大きな変化の中で、不動産と金融との業際的な仕事に就きたいと思って就職しました。
不動産証券に絡む仕事の中で就職先を色々探してたんですけど、その中で自分の性に合ったのは信託銀行だったという感じです。そこで3年くらい働いていました。
その後は税理士資格取得のために3年くらい勉強して、実務経験を積むために監査法人で4年ほど働きました。
銀行を辞める時は多少迷いもありましたが、後を継いでほしいという家族からの期待もありましたし、自分で経営者をやってみたいという気持ちもあったので、継ぐ決断をしました。
Q.事務所の強みを教えてください。
事務所の強みは、幅広い対応ができることです。
事務所が埼玉の所沢にあるんですが、東京のベッドタウンなんです。お客様も、生活に直接紐づいた飲食・自動車・不動産業とか、建設業が多いです。
その中でも自動車・不動産・建設業は、経理処理が複雑な業種なので、ある程度ノウハウがある事務所じゃないと手に負えないケースがあります。そういった会社の駆け込み寺的なポジションなのかなと思っています。
事務所ではチーム制を採っているのですが、それぞれ得意分野のあるメンバーがチームで相談しながら軌道に乗せていくようにしています。チーム制によって応用が利くこと、対応の幅が広いことが強みですかね。
Q.チーム制はどういう経緯で導入したのですか?
私が後を継いでから、事務所の課題を少しずつ改善してきました。
チーム制の導入もその一つです。
私がこの事務所に入り税理士法人化してもうすぐ15年になるのですが、最初は別の業界から入ってきたので税理士事務所の業務はわからない状態でした。
そんな中で一番最初に違和感があったのが、みんながお互いに仕事を抱え込んでいて、自分以外の職員が何をしているのかほとんど知らないという環境でした。銀行や監査法人では常にチームで動いているので、その経験からするとかなり違和感があったんです。
ただ、急には変えられないので、徐々に変えていきました。
なるべく属人性を除きたかったんです。お客様からお問い合わせが来た時に担当者以外わからない状態だと、お客様にとっても良くないし、担当者も休みにくくなってしまいます。誰も幸せになれない仕組みだなとすごく思ったので、少しずつ一人が抱えていたものを切り分けていきました。
例えば、昔は担当者が伝票入力から事務仕事、申告書の処理まで全部1人でやっていて、とても非効率的でした。そこから人を増やして、伝票入力と税務顧問業務と決算業務、というように業務を分けていきました。一応総務機能は事務所内にあったんですが、担当者が抱えていたものも多かったので、総務業務の切り離しも行いました。
そのうち、税務署OBの方に入社してもらって審査に専念してもらうようになり、直近では資産税部を別途設けました。法人の業務とはちょっと毛色の違う資産税に関しては、その専門部署に連携する感じです。
こういう流れで、税務顧問業務というまるっとした業務を各機能ごとに切り分けて、それぞれの機能の専門の人を設けていきました。
こうした業務の分業化やチーム制を進めていくには、やはり職員の協力が必要です。タイミングを見つけては相談やミーティングを繰り返し、徐々に進めていきました。
あとは、変化への対応が得意な人にモデルケースになってもらいました。その人を高く評価することで、評価される業務のやり方を見せられるようにしていました。なかなかきれいに言語化するのは難しいですが、そうやって少しずつ周りを伺いながら進めました。
Q.理想の事務所像はありますか?
今足りていないものを足していきたいと思っています。
現状だと、補助金・助成金関係はアドバイスまではできるんですが、実際の申告代行は手が足りてないので、そういう機能を社内で設けたいですね。
もっと大きな話で言うと、将来的にチャンスがあれば社労士業務の機能が持てたらいいなと思っています。
他にもポートフォリオの整備ですとか、色んな業種をバランスよく担当出来たらいいなと思っています。最近だと医業の割合も少し増えてきているので、増やしていけたらいいですね!
Q.今は誰がどの業種を担当するといった専門が決まっているわけではないんですか?
そうですね。ただ、若干調整はしています。
だいたい1つの業種に2~3人ぐらいが担当しているんですが、担当者同士が相談しあえる環境が理想だと思っています。業務について知っている人が1人だけだと、その業務の内容が丸ごと分からなくなってしまうこともありますしね。
誰かひとり事務所内で孤立して悩むことがないような割り振りを意識して組織作りをしています。
自分の事務所経営で最大のテーマは、ストレスレス。ストレスレスな事務所というのが何よりの課題です。単に労働時間の長さだけの話ではないんです。
何か困ったときに質問できる人が中にいるかいないかというのも、かなり大きいですよね。誰かが病気で休む場合には誰かがフォローできるような仕組みをなんとか作りたいという思いが、一貫してあるんですよね。
Q.先生がお客様と直接関わる際に心掛けていることを教えてください。
まずは相手の仕事や話を面白がることです。実際、面白いんですよね!こういうことをやってる方もいるんだ、こういう考え方や物事の見方をする方もいるんだ、とか。こういう目線が仕事を続けるモチベーションになっていますね。
あと、自分たちは専門家としてお客様に接していますが、専門知識がない人よりも自分たちのほうが偉いとか賢いとか、そういう勘違いは絶対にしないように気を付けています。この考えは職員にも浸透しています。
リスクをとって経営している人は、学校で勉強が出来た・出来ないっていうのと関係なく、そういうもので測れない能力があります。そこに敬意を払うということは全員に理解してもらうように気を付けています。
「こういう見方があるんじゃないか」とか、「こちらからの目線だとそう捉えられるけど、お客さんから見たらこうだよね」とか、そういう風に多角的な視点に気付いてもらえるように心がけてます。
その他に、とにかく無理をしないようにと伝えています。
無理をして体を壊しても全く意味がないです。この仕事は長い時間かけてコミュニケーションを維持することが一番大事な仕事なので、フィジカルもメンタルもとにかく健康第一にということは常に言ってますね。
それもあって、みんなほとんど残業していないんです。基本的にはリモートですが、出社の必要があるときには来ることもあります。仕事や締め切りに責任を持ってやってくれればワークスタイルは職員に任せています。ちょっと変わった運営かもしれませんね(笑)
Q.MyKomonがお役に立っていることはありますか?
MyKomonを導入することにしたのはチーム制・分業制に対応するためです。それ以前は他社の機能をExcelで拡張して使っていたんですが、お客様の件数が増えるにつれて対応が追い付かなくなっていきました。
MyKomonはだいぶ前から知っていはいたんですが、規模感的にもまだ自分の事務所には早いなと思って数年様子を見ていたんです(笑)
でも、MyKomonに切り替えてから、時間単価を意識するようになり、やっぱり随分と業務環境が改善してきているなというのはあります。
お客様とのコミュニケーションという意味では、MyKomonの電子会議室の機能はだんだん利用件数が増えています。メインで使っているのは進捗管理表とスケジュールの共有ですね。あと日報と工数管理も使っています。
日報ではみんな悩みを書いてくれます。トラブルの相談とか、こういう相談を受けました、要望を受けました、とか。職員の現状がわかるのもとても助かります。
Q. 最後にご覧になっている経営者の方へ一言お願いします。
ご要望に答えるために、可能な限りあらゆる方策を考えてお伝えするということをモットーにしています。
もし、現在なかなか解決できない悩みがあれば、ぜひご相談いただければと思います。