Q 松波先生が税理士として独立開業されたきっかけを教えてください。
大学で会計学のゼミに所属していましたが、その頃は税理士を意識したことはありませんでした。卒業後はOA機器の営業をしていたのですが、飛び込み営業だったので運次第なところもあり、もっと実力・実績を積み上げていける仕事に就きたいと思い、会計事務所へ転職しました。仕事は税務申告がメインでしたが、“もっと経営者が経営の意思決定に使える数字やデータを提供したい!”と当時の上司に相談すると「そんなことしてないで他の会社の決算をやれ」と言われまして(笑)じゃあ自分でやってみようと思ったのがきっかけで、32歳の頃独立開業しました。
松波先生
Q そうなんですね。意思決定に使える数字とはどのようなものでしょうか?
会計ってデータだと思うんです。簿記も“データ収集システム”なので、データの集合体である以上、集めたデータの前提条件がはっきりしていないと、それはデータではなく単なる数字の寄せ集め。たとえば「売掛金は発生主義」といっても、発生主義の定義がはっきりしていないと基準がずれてしまう。一定の条件下で集めた数字を集計したものが見るべきデータだと思うんです。しっかり突き詰めて磨いていかないといけない。ただそこまでやる会計事務所はなかなかないと思うんです。
Q 昨今では会計事務所の省力化や低コスト化の流れもありますよね。
そうですね。ただ私としては、省力化とか経費をかけないではなく、意思決定に使う数字はコストをかけてでもきちんと把握しましょう、という考えです。そもそも意思決定をするには利益が出ていることが必要です。今月はいっぱい売ろう、というのは相手先あってのことなので、それは希望や期待であって意思決定ではない。こちらがコントロールできる、支払に関するものが意思決定だと思います。
大まかにいって年商10~20億円くらいの会社だと月の売上は1~3億円ほど。利益率のものすごく高い会社は別ですが、そうでなければ月々の利益は100~200万円くらいを行ったり来たり。なので何かひとつ仕入れがずれる、売り上げ・棚卸がずれると、本当は利益が出ていたのに損が出ているように見える、またはその逆もあり得ます。会計事務所としてはお客様からお預かりするデータをそのまま受け取るだけでなく、いろいろな角度で検証をしていかないといけないと思うんです。そういったクオリティの高い数字・データを提供できるのがうちの事務所の強みだと思っています。
Q なるほど。先生の事務所の特徴は他にもありますか?
銀行対策や資金繰りを得意としています。年商10億円くらいの会社だと借入れが2,3億円というケースが多いですが、うちの顧問先は4,5億円借りているようなところが多いです。銀行との交渉・折衝も慣れていますので。金利が0.5%下がれば結構なインパクトになりますよね。1億円借りれば年間50万円、4億円だと200万円…。そこで得られた資金で新たな投資もできるので、経営者の方は新たな意思決定ができると思うんです。顧問先の経営者の方とは所長である私が必ずお会いしていますので、しっかりサポートしていきたいと思っています。
Q MyKomonはどのようにご活用いただいていますか?
MyKomonは独立した頃からずっとお世話になっていまして。特に楽しい給与計算は活用しています。パッケージとして売られている給与計算ソフトは余計な機能が付いていることが多いのですが、楽しい給与計算は「これだけあればいい」という機能をしっかり押さえているところが気に入っています。
あとは電子会議室ですね。クローズドな環境で顧問先の複数の担当者の方とも便利にやりとりできる点が気に入っています。メールよりも履歴の確認もしやすいですし。他のツールを利用したこともありますが、今後また活用を模索中です。
Q 最後に経営者の方に向けて一言いただけますか?
今回インタビューで申し上げたような内容を著書「その節税が会社を殺す」でまとめています。節税をすると手元にお金が残ると思っている人は多いのですが、利益を出すこととお金を集めることは全く別のこと。前書「借入は減らすな!」では伝えきれなかったことも、特典の音声データに収録しています。圧倒的に現金業種で絶対に銀行から借り入れをしない会社、あるいは前受金ビジネスで資金繰りに絶対困らないという会社以外、全ての中小企業経営者の方におすすめできる内容です。ぜひご一読いただけますと幸いです。
さいたま新都心税理士法人
http://www.ginkokariire.com/
先生、今日はありがとうございました!