Q 宮本先生は自衛隊に入隊され、その後試験を受けて税理士になられたのですよね。珍しい経歴だと思いますが、なぜ税理士を目指されたのでしょうか。
自衛隊へは、防衛大に入ったのでその流れで入隊しました。大学生になったら親と離れたところで生活してみたかったのもあり、地元からも離れた防衛大に入学しました。実際に入ってみると、全寮制で5Sの徹底と、思ったより窮屈な生活でした。
5Sひとつとっても、何のためにそれを行うのか、目的がわかりませんでした。目的もわからないまま、人から言われたことをしなければいけないのが嫌いなんです。自分で目的を持って取り組むことにはやる気が出るんですけどね。その経験から、将来は自営業ができたら人生が充実するんだろうなと考え始めました。
Q なぜ自営業の中でも、税理士を目指そうとお考えになったのですか?
自営業の中でも税理士を目指したきっかけは、知人のお父さんが税理士で、「税理士は儲かるよ」と教えてもらったからです。話に聞いていたほどは儲かってはいませんが(笑)
しかし、将来は税理士を目指したいことを防衛大の教授に話したら、「税理士になるなら今すぐ退学しろ」と言われてしまって。大学を卒業しないのもどうかと思って、とりあえず卒業して形だけ入隊しました。その後自衛隊を辞め、資格学校に通って勉強していました。
Q 税理士になってからはいかがでしたか。
顧問先様はほとんどが中小企業の社長で、自分の会社を子供のように思っている人ばかりです。そんな方の相談相手になれることが嬉しかったですね。でも、以前は過去の数字ばかり見ていました。
開業してから、他の会計事務所の話を聞く機会に恵まれ、その中で『顧問先様とは過去の話ではなく、未来の話をするべきだ』と教えてもらいました。社長だけではなく、社員の想いも聞くようになって、過去ではなく未来はどうなりたいのかを話し合うようになりました。それから、顧問先様に感謝されはじめましたね。
Q 顧問先様に喜ばれることが、先生のやりがいになっているのですね。
そうですね。他の会計事務所から移って来られた方からは、「前の先生はこんな話はしてくれなかった」と言われたり、それまでお付き合いのあった顧問先様からも、「先生は前と変わったね」と言われるようになりました。
会社の目標や将来の理想像を社長と一緒に話し合い、そのためにはどのように経営をしていけばいいのかを説明するような業務を始めると、顧問先様に喜ばれるようになりました。
正直、税務のことだけをやっているよりは業務がしんどいです。でも、自分の利益を求めるのではなく、お客様の役に立ちたいから仕事をしています。人のためを思う気持ちがあれば、やはり顧問先様にも喜んでもらえるんだとわかりました。そのおかげか顧問料も上げていただいたりと、私のやり方は間違っていなかったと思っています。
Q お客様に、具体的にはどんなサービスを提供されているのですか?
経営計画を立て、予実管理の方法をお伝えしています。社長が5年後どうなりたいのか。それなら1年後はどうしなければいけないのか。その目標を12ヶ月で割り、季節変動などを加味した管理表を作成します。それを社員1人当たりや商品ごとの売り上げとして割り振って、月次訪問で進捗のチェックをしています。達成できなければ、経費を減らすか利益率の高い商品の開発を提案したりと、具体的な達成方法を社長と話し合っていきます。
目標と現実のギャップを見ることで問題点を発見し、成長する方法を考えて業績を上げることが目的です。予実管理を行えば、会社の行動を変えていくことができます。そして、未来の話をするので、月次の会議が明るくなりますね。『過去のどこが悪かった、駄目だった』ばかり話すのではなく、『これからどうしたら業績が良くなるか』という内容を話しますから。
顧問先様で、予実管理を行っているところはほとんどありませんでした。予実管理の存在があるということは知っていても、その方法がわからない方が多くいらっしゃいましたね。
Q 社長様には大変喜ばれそうなサービス内容ですね。顧問先様との対応の中で、心がけていることはありますか?
自身の経験に裏づけされたことをお伝えしています。たとえば、商品の開発や商品力の付け方についてです。
現在の経営計画や予実管理のサービスは、他の会計事務所に教えてもらったことを真似して始めたことです。最初は真似でも、続けていけばだんだん自分のものになっていきました。だから、そのような経験をアドバイスとして社長にお伝えしています。『どうすれば売れる商品ができるかわからない』と仰るようなら、同業で業績の良いところに話を聞きにいかれることをおすすめしたりしますね。業績の良い会社というのは真摯に業界のことを考えていますし、きっと知恵を貸してくれますから。
Q 先生の経験の裏づけがあるからこそ、お客様にも説得力がありますね。
他にも、業績を良くする上で大切なことは、営業力ではなく商品力が必要ということもお話します。どんなに「私はいままでこんな仕事をしてきて、こんな受注もしました」なんて言っても、そんな営業力ではお客様には響きません。それに、大手の営業力に中小企業が勝とうとするのは無理だと思いますよ。そのために商品力をつけなくてはいけませんよね。
他の会計事務所に教えてもらったことを見よう見まねで始めたうちの事務所も、12年連続で増収です。いいサービスを開発して提供していれば、営業していなくても紹介などで顧問先様が増えていきます。これが商品力なんです。私が商品を開発して、売り上げを伸ばした経験があるから、社長にご納得いただけるのかなと考えています。
Q そんな中で、MyKomonが事務所のお役には立っているでしょうか?
グループウェアと財務計画を特に利用しています。
グループウェアでは日報の登録と工数分析を行っています。工数分析は私が管理するだけではなく、各職員の机に自分の分析結果を貼ってもらって、各自の業務を管理してもらっています。勤務時間が長くなりがちでしたが、生産性を意識するきっかけとなりました。
財務計画は銀行さんに提出する資料として使っています。融資を受ける際に、必ず財務計画で作成した財務三表と財務計画を提出します。1度銀行さんにお渡しすると、融資のタイミングで「必ず出してほしい」と言ってもらえます。
あとは、最近相続の案件があったので相続財産シミュレーションを使ってみようと思います。綺麗な見やすい帳票が出て良いですね。
Q このインタビューを見ている社長様に、メッセージをお願いします。
泉北ビジネスサポートは、未来の数字を示して、顧問先様に元気になってもらっている事務所です。『挨拶を大きな声で行うようにしたら会社が元気になった』などという取組みでは、時間が経つとすぐに元の挨拶に戻ってしまいますよね。やはり持続性があるものは、お客様に数字で未来を示し、「こうしたらうちは元気になるんだ!」と気づいてもらうことだと考えています。
売り上げで借金を返そうとして安売りを始めてしまうなど、間違った方向に努力してしまう会社もあります。安売りをして利益が上がっていなくても、社員が数字を見ていない会社の場合、ものすごく仕事をしている気になってしまうんですね。でも実際は利益が上がっておらず、疲れてしまうだけですから。働いた結果が何も残らないし、昇給もボーナスも無い会社になってしまいます。社長も頭ではわかっていても行動が伴わず、そんな状態に陥っている場合もあるかと思います。私はそういう不幸な会社がなくなって欲しいという想いで事務所を運営しています。
業務のやり方をチェックして行動を変えていくということが、経営だと考えています。なんとなく経営している社長も多いのですが、今の時代、なんとなくでは儲かりません。少し賢くならなければいけません。経営計画書を作成している会社は8割くらい利益が出ます。大企業は当たり前のように予実管理に取り組んでいますが、中小企業はやり方を知らなくてできないことが多いんですよね。正しい経営に社長が気づくことができれば、会社は変わります。そこでどう取り組めばいいのか、それを説明するのが私の仕事です。
宮本和雄税理士事務所
http://miyamoto.blogdehp.ne.jp/
宮本先生、ありがとうございました!