会計事務所インタビュー

MyKomon会計事務所の会に参加している会計事務所の最近の活動や取り組みをご紹介します。

※掲載情報は、インタビュー当時のものです

女性として、人として、自分の足で立つために

父の病気により感じた現実。幼いながらに自立しなければならないと感じた西村先生がどういった人生を歩んできたのか。生い立ちから、今後の展望まで伺いました。

Q.税理士を目指されたきっかけを教えてください。

 自分の足で立つ力を持たなければならないと思い、国家資格である税理士が、自分自身の力で人生を切り開ける手段だと感じたからです。
 税理士という職業は、祖父も父も税理士という家庭に生まれた私にとって、幼い頃から身近な存在でした。しかし、当初は「男性社会」という固定観念が強く、女性が活躍できる世界ではないと感じていました。そんな私の価値観を大きく揺さぶったのが、12歳の時に父が病気で長期入院した出来事です。
 当時、専業主婦の母と祖父母、幼い妹たちを父が1人で支えていました。家族7人の生活を一手に担っていた父が倒れたことで、家庭の経済的な不安が一気に現実味を帯びました。母は「働くから大丈夫」と言ってくれましたが、専業主婦として12年間家庭を守ってきた母が、すぐに父と同じだけ稼ぐことは現実的ではないと、子どもながらに理解していました。
 この経験から、「誰かに人生の舵を預けることの危うさ」を痛感しました。結婚しても、裕福な家庭に入っても、何が起こるかわからない。だからこそ、自分の足で立つ力を持たなければならない。そう強く思ったのです。

Q.幼いころから将来のことを考えておられたのですね。そのまま税理士になるために勉強してこられたのですか?

 「男性社会」というイメージが先行していた税理士にはこだわらず、士業という目標に向け、法学部に入りました。当初はそのまま弁護士になりたいと考えていましたが、自分に正直に生きたいという思いと、経営者の方に寄り添いたいという思いから、父と同じ税理士を目指しました。
 法学部での学習の経験から、税理士試験の勉強をしているだけでは学べないような憲法や民法の知識も習得しています。これにより、税法の質問を受けた際、憲法と関連付けた説明をすることができるので、過去の経験を活かすことができています。

Q.紆余曲折あって税理士にシフトされたのですね。そこから資格取得まではどのように進んできたのでしょうか?

 税理士資格取得のため、大学院に進学いたしました。大学院在学中に結婚し、卒業後に出産を経験したので、子育てと資格取得の両立という過酷な現実に直面しました。資格取得に専念したいところではありましたが、母は、専業主婦として子育てに専念してほしいと望んでいました。将来的には税理士として自分の足で生きていきたいと思っていたので、実際にその機会に直面した際に家族の理解を得られるように、一旦子育てに専念しました。勉強時間が思うように取れず、焦りと葛藤の中で過ごした20代前半は、人生で最も苦しい時期だったかもしれません。
 それでも、「自分にしかできないことがあるはず」という信念を支えに、少しずつ前に進みました。子どもを抱えながらの勉強、家族との関係構築、そして開業への準備。すべてが試練であり、同時に自分を強くしてくれる経験でした。

Q.事務所の強みや特徴はなんですか?

 現在は、父の事務所を事業承継しながら、自身の事務所も運営しています。父の事務所は60年以上続く老舗で、製造業や繊維業など、日本の高度経済成長を支えてきた企業との関係が深いのが特徴です。一方、自身の事務所では、女性所長という立場から、女性起業家やママ社長とのつながりが多く、SNSを活用した集客により、スタートアップ企業との関係も築いています。
 老舗とスタートアップ、二つの異なるタイプの事務所を同時に運営している点が、他にはないユニークな強みです。SNSを通じて共感していただけるお客様が多く、初めて税理士に依頼するという方も安心して相談してくださる環境を整えています。

Q.業務で大切にしていることは何ですか?

 「経営者の孤独に寄り添うこと」を何よりも大切にしています。自身が専業主婦として家庭にいた時期に感じた孤独感が、経営者の孤独と重なり、共感できる部分が多くありました。そのため、代表者が本音を話せる場所でありたいという思いから、自己開示を積極的に行い、信頼関係を築くことを心がけています。
 経営者が「言っていいんだ」と思えるような空気づくりを意識し、税務だけでなく、経営や人生に関する悩みにも耳を傾ける姿勢を大切にしています。

Q.今後の展望はありますか?

 事務所としては、老舗の事業承継支援と女性の経済的自立支援の二軸を柱にしています。後継者不足が深刻化する中、魅力的な経営者像を示すことで、若い世代に事業承継の価値を伝えていきたいと考えています。
 また、職員の資格取得支援にも力を入れ、独立の有無に関わらず、自信と経済力を持てるような環境づくりを目指しています。業界全体を良くしていきたいという思いから、他の税理士との連携や情報共有にも積極的に取り組んでいます。

Q.MyKomonでお役に立てていることはございますか?

 MyKomonの進捗管理表・業務登録は、特にお気に入りの機能です。これまでExcelで管理していた業務進捗が、一覧で見えるようになり、事務所全体の業務管理に安心感をもたらしています。
 また、会計担当者養成動画についても、職員の習熟度に応じた活用を進めていきたいと考えており、より戦略的な教育体制の構築を目指しています。今後は、ステップアップのための動画活用やプレイリストの整備など、より実践的な運用を検討しています。

Q.経営者の皆様に一言お願いいたします。

 私は、決してスーパーエリートではありません。妊娠・出産・子育てを経て、キャリアの難しさを痛感しながらも、自分にしかできないことを見つけてきました。
 経営者の皆様にも、日常の中にこそ自分の強みがあることを信じていただきたいです。自分らしい経営を支えるパートナーとして、共に悩み、共に考え、共に歩んでいける存在でありたいと願っています。