Q. 税理士であり社労士でもある今中先生。専門家を目指したきっかけはどのようなものだったのでしょうか

 結婚を機に移住した関西で、阪神・淡路大震災を経験したことが大きなきっかけでした。 
 復興に向けたボランティアに携わる中で、『会社の役に立つ人』より『社会の役に立つ人』になりたいという思いが芽生えたんです。 
 それと同時に、『知識を持って人の役に立ちたい』と実感する出来事がありました。当時の同僚が住むマンションでは、災害の雑損控除でほぼ全額の税金還付があったという話を耳にしたんです。そのマンションには税務署長も居住しており、修繕積立金から支出された部分も損害として申告できる場合があるという情報が共有されていたんですね。一方で、私が住むマンションは同僚より被害の大きい地域にありましたが、その情報を誰も知らず申告することができませんでした。知識がないがために、本当に困っている人が動けない。その事実に直面し、『知識があれば困っている人の役に立てるのに』と感じたことが、専門家を目指す出発点でした。 

Q. 税理士と社労士のダブルライセンスを目指した理由は 

 大学で社会政策を専攻していたことや、当時勤めていた会社で労働組合を担当していたことから、まずは自分の関心に近かった労務の専門性を固めました。ただ、社労士だけでは支援の幅が限られる現実もありました。そんなとき、弁護士事務所を経営している義理の父から『税理士も取っておくと役に立つよ』との助言もあり、税理士試験への挑戦を始めました。 

Q. その後の開業までの経緯は 

 官報合格と同時期に、義父とお付き合いのあった税理士事務所に修行に入りました。2歳と6歳の子どもを育てながらの挑戦ということもあり、思う通りにいかないことも多かったです。忙しい時に限って子どもの体調不良で早退しなければならないし、そんなことをしていたら提出後にミスに気付くなんてことも。人生で初めて組織の中での『厄介者』になるという経験をしました…。 
 苦労しながらも2年ほど経験を積ませてもらい、その後は自宅での独立開業の道を選んだのですが、独立後も地元の先生方のもとにお手伝いに行き、いろいろ教えてもらいながらノウハウを身に着けていきました。

Q. 独立後は順調でしたか 

 ここで活きたのが、ダブルライセンスです。税理士事務所から社労士業務を紹介されたり、勤務時代の顧客から『労務も続けてお願いしたい』と依頼を受けたり。口コミで仕事が広がり、税と労務の両面で顧客を支援できる強みが形成されていきました。 

Q. 事務所を構えたきっかけは? 

 独立後は自宅で仕事を続けるつもりでした。ところが、地元の女性税理士から『一緒に事務所を借りませんか』と声をかけられ、事務所を構える決断をしました。その後も『もう少し事務所らしい場所に移りたい』『隣のスペースが空いたから借りないか』という話があり、規模拡大を迫られる状況に。『少し楽をしよう』と思った瞬間に、次のステージへの扉が開く――それが私の人生のパターンです。結果的に、スタッフを増やし、研修スペースも確保できる事務所に成長しました。

Q. 事務所の強みや特徴はどんなところですか? 

 スタッフ同士が協力し合える所内体制です。税務も労務も業務は複雑で、どんなに経験豊富な人であってもミスは起きるものです。ですので、起きてしまったミスは隠さず公開し、全員で再発を防ぐ仕組みを作っていく。そして、自らも組織も成長させる――そんな組織文化を大切にしています。 
 スタッフには「気持ちよく質問に答えられる人」になることを意識してほしいと伝えています。そのためには、朝の挨拶や質問・謝罪の仕方など、日々の良質なコミュニケーションが大切であり、こうした積み重ねが結果としてミスを減らす基盤になると考えています。 
 ありがたいことに、私の考えに共感してくれるスタッフに恵まれ、最長勤続15年のベテランをはじめ、56年、3年と続くスタッフに支えられています。その点が、事務所の強みであり、お客様からの信頼の軸になっていると思います。 

Q. 今中先生が目指す事務所像は 

 お客様にとって身近で、なんでも相談できる「経営の町医者」のような存在を目指しています。税務から労務まで、経営に関するさまざまな課題について相談に応じ、安心して委託できる事務所でありたいと考えています。
 
さらに、頻繁な法改正や公的手続きで進むDX化に対応しながら、経理や給与計算などの事務処理がお客様にとっても弊所にとっても効率的になるよう、デジタル化による業務改善の支援もできる事務所を目指しています。 

Q. 研修講師としての活躍お聞きしています。 

 そうですね。ハラスメント防止研修、管理者研修、新入社員研修などの講師にも力を入れており、お客様はもちろん地元の教育委員会からも好評いただいています。先ほど述べた、ミスを隠さず共有し仕組みで防ぐ文化は、私が研修講師として伝えていることそのものです。 
 また、最近は税理士会での研修も担当させていただく機会が増えました。テーマは『収入の壁』や年末調整に向けた所得税法の改正などが中心ですが、社労士ならではの視点で、社会保障や雇用の話も組み合わせます。税と社会保障は一体で改革されていくものであり、税理士としてお客様と接するときにも必要な視点だと考えているためです。そうした取り組みが、少しでも皆様のお役に立てたらと思っています。 

Q. LCGとMyKomonはお役に立てていますか 

 私のキャリアアップに大きな影響を与えたのがLCG(日本人事労務コンサルタントグループ)の存在です。LCGが発信する情報を吸収できることは、開業当時の私にとって大きな自信となりました。当時はオンライン講義がなく、大阪まで足を運んで受講していましたが、一つひとつの研修が楽しみで、学びの質が高かったことを今でも覚えています。 
 今では税理士向けのMyKomonも導入し、税務面の情報収集や研修ツールとしてはもちろん、「楽しい給与計算」も重宝しいます。今でも、私の事務所の情報提供力はLCGとMyKomonのおかげだと思っています。 

Q. 最後に経営者の皆様へメッセージをお願いします。 

 経営の町医者として、なんでも相談しやすい存在でありたいと考えています。税務から労務まで、幅広い知識と経験を活かし、皆様のお役に立てるようワンチーム体制で努めています。ぜひお気軽にご相談ください。