大学では経済学部に在籍していまして、そのまま大学院に進む予定であり、将来は、教授職を目指そうと考えていました。しかし、当時の国内の政治情勢は保革逆転があったり、国際情勢も緊迫していたりしましたので、政治にも強い関心がありました。
当時、松下幸之助氏が松下政経塾を設立したことから、日本の将来を深く考えることもあり、政経塾への参加を決意しました。
その後、政治家を目指して活動した時期もありましたが、悩むこともありました。当時の松下政経塾は5年コースでして、卒塾したら27歳になっています。そのような中で、税理士を目指したのは、実は待ったなしでの選択でもあったのです。
結婚も考え始めるような年齢になっているのに、実績や資格のない「議員志望の若者」ではいられないという焦りから「何か手に職を!」と考え、1科目ずつ自分のペースで取得することのできる税理士を選択したのです。
正直に言いますと、税理士法を読んだこともありませんでした。受験校のパンフレットだけが税理士のイメージだったのです。
当時はまだまだ業界も未成熟で、コンプライアンスなども曖昧でした。
現在と比較すると、当時は仕事が成り立つ水準がやや低かった時代であると思います。
もっとも、現状は、税理士・納税者・税務署の職員など、税に関する当事者の水準が向上してきていることを感じています。
上西先生
勤務時代の疑問を解消し、自分なりの「あるべき論」をすることが最初のポリシーです。
1.正直
事務所の経理は完全にオープンです。私の決算書・元帳・領収書・銀行のネット残高など、すべて開示しています。以前に、税務調査を受けた時、「ここまでオープンな事例は見たことがない」とのコメントをいただきました。当然のことですが、働いていない妻への青色事業専従者給与はありませんし、税理士仲間との飲食であっても「業務遂行上直接必要でないもの」は、店主勘定にしています。
2.責任
提出書類はシンプルな内容でも担当者のチェック→他の担当者によるダブルチェック→私のトリプルチェックです。近畿税理士会の業務チェックリストを基本とし、名南経営のツールも併用しています。
押印の時もよほどのことがなければ同席しますし、担当者が作成した顧客対応の報告書なども私のコメントを残すことにより、担当者の責任を解除して、最終的な責任の所在を私にしています。
3.説得
税の考え方についてですが、一部の納税者の中には、「見つかった時に払えばいい」とか、「会社のおカネは社長のおカネ」などと誤解をしている方がいます。そのような事例に出会うごとに常に説得です。顧問契約がなくなっても構いません。そのような事例もいくつかありました。税法に則り、お客様が正しく申告し、納税できるようお手伝いやアドバイスをするのが、私のゆるぎないスタンスです。
4.当たり前のことを当たり前に
法定通りの有給休暇を付与し、社会保険に加入することはもちろん、税理士会の認定研修や外部研修なども勤務時間内で受講できるようにしています。
「報・連・相」が普通にできる人。すなわち国語が第一で、次に算数ができる人。
報告、連絡、相談の基本は国語ですね。また、算数とは「数覚」とも言い換えることができます。
元帳や試算表などを確認した時、「この会社にこの金額や勘定科目が出てくるのはおかしい!何かあったの?」と気づくような人。こればかりは経験だけでなくセンスが問われると感じています。
巡回監査です。
最後の作品(申告書)が重要であって、その材料を集める過程は顧客との関係で決まると考えています。業種や業態にもよりますが、年1回しか訪問しない顧客であってもその会社にとってベストであるならば、それでいいのではないでしょうか。顧客への関与方法は、この仕組みでなければいけないという固定した考えは持っていません。
税理士法第1条を大切にしたいし、税理士でなくても業界で働く人は税理士法第1条を理解し、大切にしてほしいと思っています。専門学校でも、最初の授業が始まるときに、唱和してもよいのではないでしょうか。
上西先生の名刺の背面。税理士法第1条が書かれている
他社のツールも積極的に取り入れますが、MyKomonもその流れで導入しました。情報をみんなで共有できるのは素晴らしいです。
外から見ることができる点も優れています。特に業務報告書をフル活用しています。
税理士は中小企業のホームドクターです。日常の疑問点はまず税理士にご相談ください。それと、簿記の基本的な考え方を学ばれると、経営感覚がずっと増すこと請け合いです。初歩的なものでも構いませんので、簿記を勉強してみてください。
上西左大信税理士事務所
http://www.uenishikaikei.com/
上西先生、本当にありがとうございました!