会計事務所インタビュー

MyKomon会計事務所の会に参加している会計事務所の最近の活動や取り組みをご紹介します。

※掲載情報は、インタビュー当時のものです

流れに乗る側から、作る側へ。何かを変えたいという思いに寄り添って、多くの価値を生み出したい。

「背反するもの両方を実現することに最も価値があると思っている。」と仰る山田先生。今後税理士として目指す姿・事務所像をどのようにお考えなのか、また業務との向き合い方について伺いました。

Q.税理士になったきっかけを教えてください。

父親が公認会計士で母親が税理士なんです。この仕事に就きなさい、と言われたことはなかったのですが、私の中で昔から、サラリーマンにはなりたくない、レールの上を歩くのは嫌だなという思いがずっとあって、就活もしなかったんです。それで大学卒業後にこれからどうしようかな、と思い母親に税理士という仕事の話を聞きました。もともとアルバイトで入力の手伝いはしていたので、なんとなく業務の内容は知っていたんですが、ただの作業をする仕事だと思っていました。なので母親にも「税理士には絶対ならない」みたいなことは言っていた記憶があります(笑)でも話を聞くと、税理士ってすごく色々な相談を受ける仕事で、会社・事業・家族・家・老後・子供、結局人生のほぼ全てに関わる仕事なんですよね。その時に、一人一人に影響を与えるというか、頼りにされる仕事というイメージを強く受けて、そういう道も面白いかなと思い目指したのがきっかけです。

私は高校生の時から、自分の人生観がはっきりと決まっていて、それが「自分の人生の価値は、自分が生きている間に関わった出来るだけ多くの人に、どれだけ良い影響を感じて貰えるか」です。人と関わることで初めて自分の価値が生み出せると思っています。やっぱり私は多くの人と関わりたいんですよね。だからSNSでも情報発信や発言をしています。今の私の税理士としての目標は、日本の立法に関わること。税制改正で有識者として呼ばれて、意見を求められるぐらいの影響力を持ちたいと思っています。結構高尚な目標です。根っこの部分では日本がもっと良くなったらいいなと思っているし、多くの人に影響を与えたいです。

Q.事務所の強み・特徴を教えてください。

アンパサンドって、2つの背反するものを同時に実現するようなメッセージがあるんです。背反するもの両方を実現することに最も価値があると思っています。それがうちの特徴みたいなところでもある。言ってしまうとバランスが良いとも捉えられますね。ただ反対に、バランスが良いって結構難しくて、ビジネス的には良くないやり方。マーケティング的には差別化にならない。でも色々なことができて、それこそが事務所自体の魅力だと思ってくれるような事務所にしていきたいなと思っています。

アンパサンドという名前も、ブランドのコンサルティングをしているお客様と一緒に考えてもらったんです。私に対して、優しさと厳しさが共存しているというイメージを持ってくださっていて、その言葉をもらいました。

私は税理士は法律家だと思ってます。税法の解釈をする立場ですが、サービス提供という意味では学者のようになってはいけない。実務上の判断と法律上の判断みたいな、2面性を持たせて判断するんですよね。

そういう意味でスペシャリストでありつつ、ジェネラリストであるということもメッセージに入れていますし、専門知識を高めつつ、サービスとしても質を高める、その両方を追及しています。

お客様もとても幅広いです。創業や個人の方も、上場企業もいらっしゃいます。相続対策や事業承継もサポートしてますし、資金調達や補助金の申請、事業計画の策定も強みにしています。

それから過去と未来を紡ぐという理念を掲げています。経営って未来の話なので、過去の数字から未来の事業計画をちゃんと繋がないといけません。逆に過去がなくて未来だけ書いていても、アクションプランとか、今どういう状態なのかという現実をちゃんと受け止めて計画を作らないと全く意味がないです。

うちは特定の強みはないとも言えますが、そういう意味では一つ一つかなり高い専門性を持っています。まあ何でもやってます、みたいな感じになってしまうんですけど。何でも80点・90点ぐらいは取る。100点はやっぱり、本当にその道1本でやってる人が取ります。

逆にその特定の強みがないことがうちの強み、という言い方もできるかもしれません。

Q.先生が目指す事務所像を教えてください。

会計事務所ってよくハブみたいな言い方もされるかなと思うんですけど、ある意味会計事務所が1つのプラットフォームみたいな感じ。うちの事務所がすごく魅力的と思ってもらって、そこに集まってくれるスタッフ、お客様がいて、アンパサンドは価値を生み出す場所っていうんですかね。そういう風になれたらいいなと思っています。

そうなるための価値を作っていかなければいけないわけですが、うちは所内外問わず、ものすごくコミュニケーションを大事にしてます。

メールを送ったから分かるでしょ、というのはただのエゴ。もしそういう仕事をしているメンバーがいれば、きちんと伝えます。

みんなで高め合うことで、提供できる価値を最大化したい。

 

Q.伺っていて、「愛の鞭」のような印象を受けました。

ありがとうございます。そうですね。今のままでいいというスタンスの方には、私はすごく厳しいです。前に進もうとして頑張ってるんだけど上手く進めてないのであれば、進み方を一緒に考えていこう!と寄り添います。ここまででいいですよね、というのは私の中では絶対にありえません。

あとは、そこまで組織を大きくしたいと思ってないですね。100200人の組織にすると関わりが薄くなって、クオリティが下がると私は思っているので、基本的には毎年12人ぐらい採用して、ちょっとずつちょっとずつっていうようなイメージ。急拡大はしないです。お客様も受けられるだけしか受けないし、採用もかなり選ばせていただいています。

うちにいるメンバーが、全員うちにいることを誇りに思ってもらえるような事務所にするのが理想です。

Q.今採用にお悩みの会計事務所の方も多くいらっしゃると伺うのですが、採用はどのように行っているのですか?

正直今はものすごくうまくいってます。採用したいけど、いっぱいだから待っていただいている方もいる状態。きっかけはコロナですね。コロナ前は相当採用はきつかった。全然うまくいかなかったです。入ってもすぐ辞めちゃって離職率がかなり高かったですが、今は本当に良いメンバーが揃っています。

採用がうまく行き始めた理由は、SNSでの採用の戦略が軌道に乗ったことです。そしてコロナでもともと超売り手市場だった業界のバランスが戻ってきたこともあると思います。それからこれは仮説ですが、コロナがきっかけで、改めて「働くこと」に対する考え方が再定義され、未来について考える人が多くなったんだと思います。うちは理念をハッキリと伝えているので、そこに共感してくれた方々が来てくれています。

もう一つ、入社時にテストをやるようになり、これはすごく上手く行きましたね。

超実務的なテストなんですけど、形式的なテストじゃなくて、結構抽象的な内容なんですよね。経営者にこう聞かれたらどう答えるか、みたいな。何のためにこの手続きをやっているのかとか、目的をきちんと考えている人じゃないと同業界で10年やってても答えられない人は全然答えられないんですよ。経験は浅くても目的を考えながら仕事ができる人はうちに合っているので、そういう人を採用できるようになったのは大きいです。うちは業界経験者の人って結構少ないです。未経験で入ることが多いんです。

それから、去年の1月から寄付手当というのを出し始めました。メンバー全員に3ヶ月に一回、3000円から9000円の手当てを出していて、好きなところに寄付してくださいと言っています。社会に価値を還元する、富の再分配ってよく言われますけど、自分でどこに寄付しようか考えて調べることで、そのきっかけになるなと思っていて。私は社会に価値を提供しなければ仕事じゃないと思っているので、仕事だけじゃなくて社会に対しても、何かアクションを起こすきっかけにしてほしいんです。その寄付手当に興味があって入ってくれたメンバーもいます。それはうちの理念にももちろんマッチしていますし、そういう動きに共感してくれるメンバーが揃っていてとても良い循環ができてきています。うちに合う人だけが残ってくれて、懐の深い人たちが多いから、そういう意味でもどんどん居心地が良い組織になっています。

 Q.事務所として今後力を入れていこうとしている取り組みはありますか?

業界全体がそもそも変革期にあると思っています。一般的に言うとDX化ですね。率先してやっていきたいところです。

具体的には、来年から電子帳簿保存法の改正ですね。これはあくまで1つのステップでしかなくて、1番のターニングポイントは再来年のインボイス制度。商取引の慣習が少し変わるぐらいのインパクトがあると思っています。逆に変わらなければいけない。そのためにデジタル化対応しないと、インボイス制度への対応って難しくなっていきます。これを手作業で全部やろうとしたら作業量が増大します。なので今後、紙は不要、インボイス制度にも対応できるという業務パッケージを作らないといけないんですね。これは自分たちだけではもちろん出来ないので、各ベンダーさんが提供してくれるツールを使い業務フローを作ります。それができて初めてソリューションと呼べるものになる。取り組んで行かないと、と思っています。

対応しなかったら本当に時代遅れになり取り残されちゃうので、流れに乗るんじゃなく、むしろ前の方で流れを作る側になり、その役割を担いたいですね。

 

 Q.MyKomonがお役に立っていることはありますか?

コミュニケーションツールとしての役割がとても大きいです。社内コミュニケーションで、こんな些細なことを伝えるべきかどうかとか、結構悩むことって多いと思うんですよね。こんな事聞かないでよって思われたら嫌だとか、忙しいだろうし、とか。そういう時にMyKomonの日報に、短くてもいいから何かしらの所感を毎日書き込んでくださいと言うようにしました。そうすると、MyKomon外での社内コミュニケーション頻度も上がるんです。
1つ習慣を作って取り組むという意味で、すごく効果が出ています。私も毎日日報はチェックしていて、長いと30行ぐらい返信してしまったりします(笑)そこにはかなり時間を使っていますね。工数分析に関しては、目的を考えて仕事をしていくことを意識した時に、去年より効率が上がっているなとか、確認できるのはとても役に立ちますよね。

進捗管理表も活用しています。もともとはスプレッドシートでやっていて、MyKomonに移行を進めているのですが、やはり便利。特に月次の全体ミーティングで進捗を管理する際に活用しています。あとは学習ツールですね。メンバーにはMyKomonの学習コンテンツは結構見てもらっています。養成動画とか、見るべき動画の学習のカリキュラムも作ってくれているので、そこを見て勉強してもらっています。

 Q.最後にご覧になっている経営者の方へ一言お願いします。

極論で言うと、会社も仕事も全て手段でしかないと思うんです。じゃあその仕事をする目的ってなんだろうっていうところを考えたときに、どのやり方が最適なのか、どういう会社にしていきたいのかを考える必要があります。そこを考えれば会社の方向性は定まっていきます。もし、現状に疑問があって、何かを変えたいと思っている経営者の方がいらっしゃれば、是非お手伝いをさせていただきたいです。