会計事務所インタビュー

MyKomon会計事務所の会に参加している会計事務所の最近の活動や取り組みをご紹介します。

※掲載情報は、インタビュー当時のものです

人間力と専門性を高め続け、幅広く会社経営をお手伝いします

常にお客様のことを考え、新しい事業にも積極的に取り組まれる佐野先生。その原動力には、「会社経営をサポートしたい」というかねてからの強い想いがありました。今回はそんな佐野先生に、税理士になったきっかけや事務所独自の取り組みを中心にお話を伺いました。

Q.まずは税理士を目指したきっかけを教えてください。

 税理士を目指したきっかけは、高校時代にさかのぼります。地元では進学校と呼ばれる公立高校に通っていたのですが、その高校への進学は小さい頃からの最終目標だったこともあり、入学後、まったく勉強をしなくなりました。代わりにサッカーに日々明け暮れておりました(笑)その結果、いわゆる落ちこぼれで、一学年405人中、常に390番前後という状態でした。高校3年生の夏休み前の全国模試では、ついに学年最下位をとってしまい、「え?さすがに、ちょっとこれはまずい」という想いと、ちょうどこれは平成になる前、昭和63年のバブル絶頂期の出来事だったので、「終わったな・・・」とも感じてしまいました。
 ただ、今思えばそのときが転機でした。このまま普通に勉強を始めて、普通に大学進学するだけでは、周りの友人に一生勝てないかもしれない、何か手に職をつけなければと思いました。そんなときに、たまたま担任の先生が文系の仕事を書き出して紹介してくれることがあり、最初は税理士という直接的な言葉ではなく、「経営コンサルタント」という職業を知りました。それから図書館で調べたところ、ひとまず大学の経済・経営系の学部に進学する必要がありそうと知り、ようやく本腰を入れて勉強し、一浪して大学に進学しました。

Q.最初は「経営コンサルタント」にご興味を持っていたのですね。そこから具体的に「税理士になりたい」と思われた経緯をお聞かせください。

 大学では商学部に所属し、そこで簿記の勉強を始め、簿記3級、2級と順に取得していきました。そうして迎えたゼミの面接時、担当の先生に「経営コンサルタントになりたい」と伝えたところ、「経営コンサルタントは、何か資格の裏付けがないと誰も信用してくれない。安心して仕事を任せてくれない。それならば、公認会計士か税理士を目指したらどうか」と教えてもらいました。このときに「税理士」という仕事を初めて知りました。そこから、試験形式の違い等も調べてみた結果、本格的に税理士を目指すようになりました。
 今になって考えると、最初のきっかけは「税理士になりたい」ではなく、「会社経営をサポートしたい」と思ったことでした。ですので、税理士資格の取得がゴールにならなかったことはよかったと感じています。

Q.佐野先生の事務所の強みや特徴を教えてください。

 私自身は「未来会計(経営支援)」に最も力を入れています。業界では「MAS監査」と呼ばれており、しっかりと経営計画を作り、その予実管理をしていくという内容です。ただし、まだ具体的に業務に携わっているのは私だけであり、現状で全顧問先様のうち毎年経営計画を策定できているお客様は1割強です。今後少しずつ職員に教育して、事務所としての強みにしていきたいと考えています。
 2点目として、職員10人のうち、税理士が3人おり、税務的な強みがあると考えています。また弊社は、4事務所が集う税理士法人トレイスの一角として税理士業務にあたっており、何か難しい案件がある場合は、毎月の法人の会議に持ち込んで協議、対応するようにしております。ですので、社内の税理士3人で協議したうえで、毎月の法人の会議でも精査して進めているため、複雑案件の場合も高いレベルを維持して対応できております。
 そして3点目は、事業承継の選択肢の一つとしての第三者承継(一般的にM&A)にも力を入れ始めました。昨年、(株)サクシード様の事業のフランチャイズ運営として、「ツグナラ」をスタートさせました。弊社では大阪、奈良を担っております。奈良県であれば奈良県で、大阪府であれば大阪府で、という割と近い地域同士で、後継者のいない会社や事業を存続させるための事業を展開しております。特徴としては、ただ単に「会社を売り買いする」という感覚ではなく、「どのように雇用を守るか」「どのように経営資源を残すか」ということを重要視しています。コロナ禍の少し前から、年間1件程度携わっています。
 一般的な税理士事務所では、何か案件が発生した際、M&A仲介会社に斡旋する対応をとられることが多いですが、弊社ではお客様に一から十まで全て携わらせていただいております。

Q.「未来会計(経営支援)」の業務に最も力を入れられているのですね。今後は事務所としての強みにしていきたいとのことですが、いま職員教育に関して何か取り組まれていることはありますか?

 業務スキル面の教育としては、様々な社外研修を受講してもらうこともありますが、基本的には社内での業務中に同席して見てもらうことが多いです。
 そのほかとして、個々の人間力を高めることに注力しています。私たちは、何か形のある商品を売っているわけではないため、結局のところ職員一人一人の人間力が必要だと思っています。そういった意味を込めて、私は「共に育つ」と書いて『共育(ともそだち/きょういく)』として、職員だけでなく私自身も勉強しながら一緒に育つ、人間力を高めるようにしています。いまは、人間学を学ぶ雑誌「到知」をテキストに、毎月の研修時間で読み合わせをして、感想を共有する時間をとっています。
 また、弊社には経営理念に基づいた行動理念があり、その理念を深めるためのワークやディスカッションを毎月実施しています。自分たちがどこを目指しているか、そのためにどのような行動をする必要があるか、毎月掘り下げて考えています。

Q.佐野先生の想いが伝わってきました。ありがとうございます。
MyKomonがお役に立てていることがあれば教えてください。

 まず、MyKomonのカレンダーは日々無くてはならない存在です。スケジュールに登録した情報を使い、日報も提出するようにしているため、毎月の工数分析ができて便利です。
 MyKomonの工数分析で出せる集計情報は、お客様にお見せした際も理解を示していただけることが多いです。また、毎月の会議でも、担当を決めて社内共有するようにしています。私が少し工数を入れていないことがあった際にも担当者から直接指摘をもらうぐらい、かなり徹底しておこなっています(笑)

Q. 最後に、この記事をご覧になっている経営者の方々にメッセージをお願いいたします。

 物価上昇が続く非常に厳しい時代に入っているため、経営者の皆様にとっては、ご自身のいまの市場で戦っていけるのかを考える必要性が出てきたと感じています。その際、本業となる事業の目的・定義を今一度考え直し、そのうえで計画を立てることが重要だと思います。計画というものは、その通りにいかないことが多いですが、計画を立てないことには利益は出せず、会社も成長しないため、きっちりと予実管理をしていくことが必要です。ぜひ経営計画には着手していただきたいです。私たちももちろんお手伝いさせていただきます。
 そして、やはり人を採用することが非常に困難な時代になっていますよね。今いる人材を大切にして、「人を大事にする経営」を心がけることが必要です。私たちと一緒に、今いる人材をどう活かすか、どのように育てていくかを考え、実践していければと考えております。ありがとうございました。