Q.まず、税理士を目指されたきっかけを教えてください。
大学生の頃は、正直なところ将来についてあまり深く考えていませんでした。いざ就職活動の時期になっても、自分が何をしたいのか、どんな仕事に就きたいのかが分からなかったんです。
そんな時、ふと祖父から昔言われた「税理士か警察官になったらいい」という言葉を思い出しました。実家が事業をしていたこともあり、税理士という職業は身近な存在でしたので、少し調べてみたところ、「自分にもできるかもしれない」と感じたんです。そこから就職活動はせず、税理士試験の勉強を始めました。大学院に進学し、比較的早い段階で資格を取得することができました。

Q.独立まではどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか。
最初に勤めた税理士事務所は非常に忙しい事務所でしたが、その分たくさんの経験を積ませていただきました。法人税、相続税、社会保険関連業務など、本当に幅広い仕事に携わることができましたし、若いうちから担当を持たせてもらえたことは大きな財産になっています。
ただ、あまりにも忙しかったので、「このままでは結婚や家庭との両立が難しいかもしれない」と感じるようになり、女性の先生が経営する事務所へ転職しました。その後、結婚・出産を経て独立開業に至りました。
Q.開業のきっかけは何だったのでしょうか。
出産後は育児休業から職場復帰する予定でしたが、保育園に入ることができませんでした。
初めての子育てで不安もあり、一度仕事を離れる決断をしました。しかし、子どもと二人きりの生活が続く中で、「このままでは実務感覚を忘れてしまうかもしれない」と感じるようになったんです。
そんな時、主人から「まずは形だけでも独立してみたらどうか」と背中を押されました。こうして自宅で税理士事務所を開業しましたが、当時のお客様はゼロ。最初のお客様は実家の会社でした。パソコンやプリンター、会計ソフトを購入するだけでも大きな決断だったことを今でも覚えています。そこからは紹介が紹介を呼び、少しずつお客様が増えていきました。
Q.子育てと仕事の両立は大変だったのではないでしょうか。
本当に大変でした。上の子の時は保育園に入れず、一時保育を利用しながら仕事をしていました。下の子を妊娠した時には、「お客様に十分な対応ができなくなるかもしれない」と考え、契約解除も視野に入れて相談したこともあります。しかし、お客様は「待っていますよ」「無理しなくて大丈夫ですよ」と温かく声を掛けてくださいました。
下の子を出産する直前までお客様を訪問し、出産後も決算業務のために早期復帰せざるを得ない状況でしたが、家族やスタッフ、お客様の支えがあったからこそ乗り越えることができました。振り返ると、本当に感謝しかありません。
Q.事務所運営で最も大切にしていることを教えてください。
一番大切にしているのは、「相手の立場になって考えること」です。お客様によって求めていることは全く違います。経営分析を詳しく聞きたい方もいれば、そうではない方もいます。だからこそ、「うちの事務所はこうだから」と一方的に押し付けるのではなく、その方が何を求めているのか、何に困っているのかを理解することを大切にしています。
税務や会計の専門知識だけでなく、お客様の気持ちに寄り添うことも私たちの大切な役割だと思っています。

Q.今後注力していきたいことはなんですか。
今はやはりAIの波に乗り遅れないように、情報収集をしていきたいと思っています。AIはとても便利ですし、業務効率化には積極的に活用していきたいです。
一方で、お客様の表情や雰囲気から本音を感じ取ったり、言葉にならない不安をくみ取ったりすることは、人にしかできない部分だと思います。税理士は単なる計算や申告だけではなく、経営者の相談相手でもあります。そうした人と人との関わりは、これからも大切にしていきたいですね。
また、相続分野にも力を入れていこうと考えています。最近は「相続が発生してから」ではなく、「発生する前」に不安を抱えている方が非常に多いと感じています。親の財産がどのくらいあるのか分からない、相続税がかかるのか分からない、認知症になったらどうなるのか不安――そんな悩みを抱えている方はたくさんいらっしゃいます。実際に相続が起きてからでは選択肢が限られることもありますので、生前の段階から気軽に相談できる存在になりたいと思っています。
税理士事務所に対して「敷居が高い」「相談しづらい」というイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、もっと気軽に相談していただける場所にしていきたいですね。
Q.日々の業務の中で、MyKomonがお役に立っていることがあれば教えてください。
MyKomonは本当に日々の業務に欠かせない存在になっています。特にAI報告書機能は業務効率化の効果を最も実感している機能の一つです。以前は報告書を手入力することに時間がかかっていましたが、AI報告書を使って効率的に報告書を作成できるようになりました。
電子会議室や共有フォルダはお客様との資料共有やコミュニケーションに非常に役立っていますし、楽しい給与計算もお客様にご案内するとスムーズに利用いただけるため助かっていますね。また、困ったことがあればフォーラムで過去の事例を検索し、同じような課題の解決策を参考にしています。業務の進捗管理も含めて、MyKomonを見ない日はありません。
Q.最後に、経営者の皆さまへメッセージをお願いします。
私たちは女性スタッフ中心の事務所ですが、「女性らしさ」を売りにしているわけではありません。大切にしているのは、お客様と対等なパートナーとして関わることです。「先生とお客様」という上下関係ではなく、一緒に考え、一緒に悩み、一緒に解決していく関係でありたいと思っています。
経営のこと、相続のこと、日々の小さな悩みでも構いません。「こんなこと相談していいのかな」と思わず、ぜひ気軽に声を掛けてください。皆さまにとって身近で頼れる存在であり続けたいと思っています。

